2012年5月11日金曜日

IRAC


UC HastingsではLL.M.だけで1クラス作ってLegal Writing の授業があった。
このクラスは書くだけでなく、moot courtで口頭弁論の実技みたいなことをしたり、休憩時間におやつ当番がおやつを準備したりで楽しいのだが(外国人をアメリカ文化に馴染ませるという意味合いもあるクラスだったと思う)、ここでしきりに言われたのがIRAC
答案を書くときにはIssue, Rule, Application, Conclusionの順で書くように、という頭文字をとったものだ。

日本の司法試験の答案でも、冒頭に問題の所在を書いていたのだが、その場合、単に問題を指摘するだけでなく、どうしてそれが問題となるのか(だって「問題」ではなく「問題の所在」だもの。)、を事実関係を摘示しながら書いていた。それでほとんど習性のように設問を見たら「問題の所在」が書きたくなる。しかしこれを英語で書こうとするとやっかいであることは書き始めるとすぐにわかった。さらに、事実関係を摘示して、だから、と書くと、読んでいる方はissueではなくapplicationを書いていると感じるようだ。

これには随分困ったが、Barbriの答案練習をしているころには、理由なんかともかく、見つけたissueを片っ端から書けばよい、と割り切ることにした。日本の答案の作成の経験からすると、いきなり、問題はこれです、と書くと、だからどうしてそれが問題となるの、と突っ込みたくなるのだが、この国ではそういうものだ、と割り切って書く。それにこれならそれほど複雑な文章を書く必要はない。
というわけで、あまりあれこれ考えるより、試験の答案は “The issue is..” と書き始めましょう。

2012年5月7日月曜日

Contract


Professor PaulからBarを受けるLL.M.へのアドバイス、どの授業を取るべきか、によれば、ContractPropertyConstitutionEvidenceほど大陸法と違わない、と書いてあったと思う。
確かにそう言われればそうなのだが、BarbriContract法の説明を聞いたとき、どうしてこんなに覚えることが多いのか、と思った。
契約というのは相対する二つの意思が合致した約束の一種、というのは世界共通の当然の認識ではなかった、ということの方にちょっとびっくりした。
びっくりしていても仕方がないので試験までの間にややこしいルールを詰め込めるだけ詰め込んだ。

それで本日のNYSBAMLの話題の一つ。1年以内に終了するサービス提供契約において書面を要求される最低額はいくらか?
こんな質問が弁護士で構成されているMLに掲載されれば当然、Statute of Fraudの条文を自分で見ろ、という答える人や、条文のcopyを貼り付ける人などが現れるのだが § 5-701には1年以内に終了しない契約は書面ですること、となっているだけで、1年内に終了する契約について金額によって書面を作成せよとはなっていない。
そのあたりで別の人が、UCC (Uniform Commercial Code)の動産売買の規定と間違えていないか、動産売買なら$500以上の契約に書面を要求しているが、サービス契約はこれとは無関係だ、と指摘を始めた。
そう言われれば試験前にこのあたりの規定を覚えようとしていたなと思いながら見ていたら、最初の質問者が、混乱したのは自分だけじゃないよ、口頭契約だとして訴えたら被告代理人からStatute of Fraud が要求する金額を超えているので契約書を提出するよう求められたんだ、と書いていた。
ここまで読むと、裁判所は何をしていたのだ?と思ったりするのだが。

どうしてこんなめんどうな規定を作るのだろう?

2012年5月1日火曜日

Life in the Tower


UC Hastings dormthe towerと呼ばれている。100年ものの古いホテルを改装したもので、背が高く、最上階は展望室となっている。湾を一望するここからの見晴らしは素晴らしい。LL.M.pizza partyはしばしばここで開催されていた。自習室として解放されている時間もあり、友人の韓国人裁判官Yoonはここをお気に入りの勉強スペースにしていた。
さて、dormに住むことのメリットとデメリット。
メリットは講義棟や図書館と近い、ということ。朝一番のProfessor Massey Constitution Iの授業はJDには必修科目であるが半数くらいが欠席していることがままあった。East Bayに住んでいる友人は、1時間目に間に合うに朝早く起きないといけない、と言っていた。
図書館で夜勉強しているときも、歩いて帰れるので交通機関の時間を気にしなくてよい。
 寮の地下は体育館になっていて、ヨガ教室も週に数回開催されている。中二階にはジムがありトレーニングマシンが置かれている。寮に居住していなくても使えるが、ちょっと着替えてシャワーを浴びて、と寮に部屋があると便利だ。
デメリットとして、学生寮はうるさい、と言われることもあるが、US Hastingslaw schoolのみであり、学部学生がいないのでそれほど賑やかいこともない。学期が始まった最初の週末に夜遅くまでパーティをしている部屋もあったが、管理人が注意をしたようで私がいる間に騒ぎがひどいと思ったのは1度だけだった。
寮に住む一番のデメリットは卒業すると部屋を明け渡さないといけないことだろう。Barを受験する場合、申請をすればBar Examが終わるまで退去を猶予してもらえるが、New Yorkから試験が終わって戻って来たらすぐに引っ越しをしなければならない。つまり、Bar が終わってすぐに帰国するのでなければ受験直前の時期に引っ越し先を探さなければならないのだ。当然のことながら学校とは関係なく部屋を借りていれば、卒業をしても引っ越しをする必要はない。
なお、US HastingsTenderloin と呼ばれるSan Franciscoの街で治安の悪い地区にあるが、寮、講義棟、図書館には警備員がいて、寮と図書館の間の道路はモニターで監視をしているほか、警備員が外に立って見張りをしていることもある。
また、この地区は治安が悪いと言われている反面、市役所、オペラハウス、市立図書館、アジア美術館、シンフォニーホールなどがある地域で、バレエやオペラを見に行って、夜遅くに終わっても寮まで歩いて帰ることができる。
さらに、日曜と木曜は寮の向かいのUN plazafarmer’s marketになる。新鮮なorganic野菜や果物がふんだんに並んでいる。パン、魚、卵、蜂蜜、アーモンド、ドライフルーツなどもこの市場で手に入る。
また、市役所前広場は様々なイベントのparade の終点となることが多く、イベントの日は焼き鳥、かき氷、魚介類のフライ、フランネルケーキなどを売るテントが立ち並ぶ。

2012年4月19日木曜日

Buy a case book


Law schoolで使用される教科書はたいてcase bookと呼ばれる分厚い本だ。
値段は結構高い。
Amazonで購入するとlaw schoolbook storeで買うより少し安いのだが、購入するときに注意しなければならないのは配達予定。日本のアマゾンで本を買うとき余分に料金を払って翌日配達サービスを利用しようと思わなかった。そんなことをしなくても数日で届く。
日本と同じ感覚でAmazoncace bookを注文したらとんでもなく到着までに時間がかかり、結局授業が始まる日までに届かず、友人にコピーさせてもらうことになってしまった。要注意。普通便だと大陸をトラックで横断して来るのだ。翌日便だと大陸を飛行機で横断して来る。

価格が高いからか、case bookには中古市場があり、law schoolbook storeでも中古を扱っているし、Amazonでも中古品を販売している。書き込みなどの汚れ具合によって価格が違う。どの程度の書き込みがあっても許容できるか、価格を眺めながら考えるが、実際のところ到着して開いてみるまでどの程度の書き込みがあるのかはわからない。
ただ、書き込みがあるといけないか、というとそうでもない。前の所有者がよく勉強する人だと、とても有益な書き込みがなされていたり、重要個所にマーカーがひかれていて、かえって使い勝手がよかったりする。
試験が終わるとlaw schoolbook storeでは買い取り期間が始まるし、Amazonも本を売らないかと広告している。

2012年4月18日水曜日

Property


尖閣 諸島が個人の所有物だと聞いて、いつから所有しているのだろうか、初代はどうやって取得したのだろうか、と思った。無主物先占か?無主の土地というのは存在するのか?国家に帰属していなかったのか?国家より先に無主の不動産として占有していたのか?
そもそも日本人はいつ、どうやって土地を所有したのだろう?

アメリカのproperty lawcase bookにはいつから、どうやって、土地を所有したのか、ということの説明が書かれている。欧州から移民が来る前はアメリカはすべてnative Americanのものだった、という当然のことを、当然なのに衝撃をもって理解した。Case bookにはnative Americanから土地を購入した人と政府から土地の払い下げを受けた人とが同一の土地の所有権を争った事案が掲載されている。

曰く、native Americancivilizedされていない。Civilizedされた人に所有されていない土地は無主物であり、発見した国家に帰属する。従ってnative Americanから土地を購入した人は無権利者から買ったのであり、正当な所有者である国家から払い下げを受けた人が土地の所有権を取得している。

移民が来るまで原住民がこの広大な土地に居住しており、移民が来て原住民から土地を奪ってやがて国家が成立した、ということを衝撃的に理解した。と同時にあっけないほど物事の起源に遡ることのできる国だと思った。

なお、Manhattan Islandをオランダ人が Indianから購入したというのは正確な理解ではないらしい。Native Americanには土地所有の概念がなく、土地は部族内で共同使用だったので、異国から来た人たちから友好の象徴として贈り物を受け取り、土地の使用を認めた、ということらしい。

土地所有概念がないから、native Americanの使用形態で他人の土地を継続して使用していても所有権の時効取得をすることはない、というのも判例である。
ただし、土地使用の事実はあるから、地役権の時効取得は可能である。数年に一度Indian tribeが聖地に向かって大移動をし、毎回同じルートを通り(他人の敷地の垣根を乗り越え、農地を横切り)、同じ場所で祈りを捧げ(畑の真ん中であっても)ている場合、地役権を取得しているので、妨害してはならないという判決もあった。

2012年4月17日火曜日

Tax Return 2


Banana Republic からtax relief for all という広告メールが届く。40% off sale.  バーゲンの広告がTax reliefってどういう意味だろうと考えていて、もしかしてtax returnをあてこんだセールスかなと思った。確かtax returnは4月15日が最終日だったはず。遅くとも数週間先には確実に政府から払いすぎたtaxが口座に振り込まれるのだから、この季節はお買い物の季節なのかもしれない。

今日のCNNは、毎年tax returnの締め切りは4月15日なのだが、今年は4月15日が日曜だったので、2日延長して、4月17日が最終日だ言っている。どうして1日ではなく2日延長なのだろう? なお、tax returnの締め切りが4月なのは、金持ちは夏に町から出て行ってしまうから、その前に税金の申告をしてもらうためだとか。

連邦の課税権は合衆国憲法第8節(1)に規定されている。そういえばProfessor MasseyConstitution I   の授業を聞いたときrevenue spendingでよくこんなに議論できるなあと思った。課税と補助金は連邦が間接的に州をコントロールする手段か。 Federalstateの関係の憲法上のめんどくささは日本にいるときは想像もしていないようなもので飲み込むまで時間がかかった。

2012年4月12日木曜日

Cherry blossoms in North America


春先にSan Francisco市内を散歩していて桜らしい木を見つけた。が、近寄ると、似ているけれどちょっと違う。花は散らずに軸ごとぽたりと落ちている。葉は赤く、花と同時に出ている。桜とは思うけれどソメイヨシノではなさそうだ。
見ているともの悲しくなってきてよけいに桜が見たいとの思いが募った。
桜が見たくてもないものは仕方がない。それになんとなくニュアンスに欠けるCaliforniaの空の下では桜はあまり映えないかもしれない。

春休みにはBritish Columbia Universityの松井教授を訪ねてVancouverに出かけた。
西海岸を北上することになるので、せっかく春が来たのにまた冬に逆もどりかと思っていが、それほど寒くない。
驚いたのは街中いたるところに満開の桜、桜、桜。まがうことなきソメイヨシノ。美しい湾の風景、優しい色の空を背景に何時までもそこに佇んでいたいと思うような桜の風景あちこちにある。
控えめで親切な人々、Cafeの質はどこも高い。消費税が高いことを除けば数日で立ち去るのが名残惜しい街だった。

翌年の春はWashington DcNational Cherry Blossom Festivalに出かけた。こちらはPotomac River 沿いに圧倒的な桜。人出も多く花と人に酔いそうなくらいだった。
http://www.nationalcherryblossomfestival.org/

その数週間後にNew YorkCentral Parkを散歩しているとsheep meadowの付近で満開の桜の木々に出会った。木の大きさも花の量も申し分ない。広々とした芝生の上にシートを広げ、満開の桜の下で友人達とのんびり過ごしている人達。春爛漫。
http://www.centralparknyc.org/

2年ぶりの日本の桜は、電線で区切られた空の下で枝を伸ばしていた。のびやかな北米の桜が思い出された。

2012年4月9日月曜日

When you want to resell your timeshare through a reseller


FTCFederal Trade Commission)timeshare売却に関して注意事項を掲載している。

あなたの所有しているtimeshareが人気で買いたいという人が多い、とか、既に顧客がついている、と業者を名乗って連絡があったら注意しましょう、とのこと。

いくつか注意事項が記載されているが少なくとも
  必ず書面を要求する
  安易に返事をしない

買主が急いでいるとか、他の売主との競争になるとか、急かすような話ならやめた方がよいと思う。

また、一般的にtimeshareを売却するときに自分がどのような権利を有し、義務を負っているのか、のチェック事項も記載されている。
チェックリストは以下のとおり。

Resort 会社の名称、所在地、電話番号
会員契約
融資契約(支払いが残っている場合)
会員資格の特定
提携exchange company
管理費の価格と支払期日
固定資産税(別に支払っている場合)

その他、不利な条件なら交渉して変更してもらいましょう、とか、納得がいかなければ契約書に署名しないこと、というアドバイスもされている。
アメリカ人でも納得のいかないまま契約書に署名することってあるのか。

なお、5年以内の所有でかつ有名な場所でない場合はまず購入価格を上回る売却価格は望めない、とのこと。

2012年4月6日金曜日

Legal Clinic


U.C. Hastingsは非情に狭き門ではあるが、LL.M.からJDへの移籍を認めている。クラスで一人だけ認められたのはCarmen (Peru)で、彼女はCal Barにも合格し、Californiaの法律事務所で働きながらJDのクラスにも出席していた。彼女から刑法のclinicの授業で指定されたThe Innocent Man(John Grisham)を読むよう勧められた。
 Law Schoolの本屋に行くと教科書売り場に行くと、この本の他に、Bill ClintonGivingも並んでいた。

どちらもお勧めである。
The Innocent Man を読んだときには、日本の刑事司法ではこんなずさんなことは起きないだろう、と楽観的に思ったのだが、昨今のニュースなどを見ていると、もしかしたら日本でも起きてるのかもしれない、と思う。再審請求の書面の説得力いかんによって同じ事件の共犯者の判決が明暗を分けることもあれば、係属部のスタッフの熱意とセンスの良し悪しによっても結果が違ってくることもあるのかもしれないということが丁寧な取材によって描かれている。
Givingはアメリカのある側面を表している。寄付、エコ、リサイクル、これらを支える多様なNPOの活動など、善意に満ちた力強い社会がそこにある。

ロースクールでこのような本に触れることができるのは素晴らしいと思う。日本の法曹を目指す人達にも是非一読をお勧めしたい。

2012年4月5日木曜日

International Child Abduction


大阪弁護士会で模擬国際家事調停が行われた。テーマは子どもの連れ去り。
Californiaで婚姻が破綻し、日本人親が他方の親に無断で5歳の男児を連れて日本に帰ってきたという設定。
Californiaから他方親が日本に来て、調停で子と将来どうやって会うかなどを話し合っていた。
離婚は紙切れ一枚の提出で簡単、子の連れ去りはむしろ母親には推奨される(調停委員が子を連れ出した母によくやった、と褒めているのを実際に見たことがある。)くらいのお国柄がよく表れている。
パネルの長田先生(大阪大学)は、ハーグ条約では原則連れ去り(abduction)から1年以内でないと子の返還請求はできないし、返還を求められた裁判所は原則6週間以内に返還を認めるか否かの判断をしないといけないので、こんなのんびりした話し合いをすることはないだろうとのコメント。

アメリカ国内から外国へ、一方の親が他方の親の同意なく子どもを連れ出すのは連邦法上の犯罪である。
ここでは、親によって連れ去られた子はしばしば、いきなり、親族、友人、クラスメートを失うことになり、深刻な精神的及び身体的問題さらされる危険がある、とされている。
また子を連れ去られた親には、裏切られたこと、喪失感、怒り、抑うつなどの精神面でのダメージがあることも指摘されている。

なお、上記Department of Stateのページではkidnapという言葉が使われているが、大阪弁護士会の模擬調停では連れ去られた親がkidnap という言葉を使ったことに対し、表現がきつすぎる、通訳は直訳をせず、和らげるように、とのコメントがあった。日本においては犯罪であるとは全く認識されていない。模擬調停では、連れ去られた親が連れ去った親から、アメリカで誘拐として提訴されているからアメリカに行けない(この部分は聞いていて意味がわからなかった。警察に届出がなされているの意味か?)、と言われ、届出は取り下げることができる、必要ならそうしてもいいから子と会わせてほしいと言っていた。

連れ去りの予防方法としては子のパスポートの作成に同意しない、alarm systemに登録をしておく、ということのようだが、パスポートが既に出されていたら出国を止めるのは困難である。また、日本人の親の子は日本人だから、日本の領事館が子のパスポートを出してしまえばアメリカのパスポート発給を止めても意味がないかもしれない(日本領事館にも発給をしないよう求めることはできるが、証明書等の書面が要求されているので時間がかかりそうである)。

緊急時の連絡先も記載されているので、出国を止めるための努力もなされているようだ。

諸外国の状況の項目で日本をクリックすると、子を連れ去られた場合、解決がもっとも困難な国である、この国では子の連れ去りは犯罪ではない、と記載されている。

子どもは親の付属物で、子は母系で育てる、というのが日本の伝統だとしたら、これは文化レベルの問題かもしれない。
もし、日本人が子を連れて帰ることは多いが、外国人が日本から子を連れ去ることは少ないのだとしたら、日本人保護のためにハーグ条約に加盟せず、誘拐ではなく母が子を連れて帰っているだけでこれは美しい行為だと国際的に主張することも考えられるはずだが。むしろ国内では母による子の連れ去りを推奨しつつ国際的には条約加盟というのはどうなのだろう?

2012年4月4日水曜日

Section 470


New York 州法では、非居住者である弁護士はNew York 州内に事務所を置かなければならないとされている(section 470)New York 州の居住者は州内に事務所を有する必要はない。

この規定の合憲性が連邦裁判所に提起され、連邦地裁は違憲(合衆国憲法)との判断を下した。

原告はEqual Protection Clause, Commerce Clause 等の主張もしたが裁判所がとりあげたのはPrivileges and Immunities Clause 違反の論点。

Law School(UC Hastings)のConstitution Iの学期末試験の問題を思い出した。
ある州でその州のLaw Schoolを卒業した者には無試験で弁護士資格を付与する、それ以外の者は司法試験を合格する必要がある、という制度にした場合について論ぜよというものだった。

ころころ変わる日本の司法試験制度を見ていたせいか、どのような制度をとろうと政府の勝手でしょう、のような意識があり、どうしてこれが憲法上の問題になるのか、と思った。法律家になることが憲法で保障された基本的人権か?

弁護士が州際通商の道具であるとは認識してなかったし、privileges and immunitiesは州民か否かで差別的取り扱いを禁じているので、州のlaw schoolを出たか否かで区別するのは州民か否かとは関係がないと思った。
類似の論点で実際の訴訟が進行していたとは思いもしなかった。

判決では、doing businessfundamental rightであるとし、New York 州内に事務所を置くというのは居住者に比べ非居住者に余分な費用負担を強いるものであるからprivileges and immunitiesに抵触するとする。
被告New York 州は居住者であることを弁護士の要件とはしておらず、単に事務所を州内に置くよう求めているだけである、これはより居住を要件とするよりより制限的でない要件である、そのように判示した裁判例もある、と主張したが、容れられなかった。

次に判決は、州がprivilege and immunitiesに抵触する法を設けることを正当化しうるかを検討し、その違憲審査の基準は、目的が実質的な州の利益か、手段に実質的な関連性があるか、であり、立法目的が合法か否かの基準ではないとした。
そして、州の主張する目的を1つずつ検討した結果、州の主張をいずれも退け、原告の請求を認容した。

この判決は、論理の流れが構築的でわかりやすく、美しい文章だと思う。こういう文章を私も書けたらいいなあ。

興味のある方は是非ご一読ください。

2012年4月3日火曜日

Tax return

年があけると勤務先から税金申告(tax return)のための書類が届く。寄付をした団体はtax deductionを証明する書類を発行してくれるし、銀行も利息に対する税金の支払いを証する書面を送ってくる。どこにどうやってtax returnの申告すればよいかよくわからなかったので、TurboTaxというソフトを使ってみることにした。連邦への申告書の作成が約$30, 州への申告書作成約$40。勤務先から受け取った書類に記載されている事項をそのまま空欄に入力するといくらの還付になるか計算してくれる。

アメリカは所得税に関し、global systemを採用している。市民(citizen)global incomeに対して所得税を課税される。アメリカ人であることに利益(benefit)があるというのがその理由とのことだが、residenceに対しても同様の扱いがなされている。Residenceの定義は、単年度に183日以上合衆国内にいた者、とされている(Section 7701(b))。そのためか、税金の申告にあたっては、いつからいつまでどこに居住していたかを記載する必要がある。なお、前年にこの日数滞在していれば、翌年はそれ以下の日数でもresidenceとなる。

Tax return手続きにはアメリカ国内にmailing addressbank accountがある方が便利。書面を提出すると、連邦は受理後の処理状況がネット上で追跡できるようになっている。Californiaの書式では税金の支払がある場合引き落とし日は申告者が指定できるようになっていた。連邦、州とも還付金は数週間後に銀行口座に入金された。

民間のソフトを使ってネットで申告というのは受け取る課税庁は楽だろうし、申告する方も便利だし、民間会社には手数料がはいる。よくできた仕組みだと思う。


追記
Tax return を提出するのとほぼ同時にcredit cardにオランダの料理店らしき名義で請求と取り消しが各2件ありました。TarboTaxへの支払いを同じcredit cardでしていたので、ID theftをしたのかと疑いました。
5月になって今度はdebit accountにアメリカの薬局と思われる名義でchargeがなされていました。これはよくわからない。Tax returnの受け取りにこの口座を指定したので、そのときID theftされたとも考えられますが、pin codeは渡していない。
他方、TurboTaxからはID theft対策のサービスの案内が届いています。ID theftとこの会社は無関係かもしれないけど、なんか嫌だなあ。
それはともかく、ネット上での決済には十分お気をつけて。

2012年4月2日月曜日

Do you really need the condominium in Hawaii?


ワイキキ(ハワイ)で日本人観光客を対象にした不動産(コンドミニアム)のキャッチセールスがあったようです。共有(timeshare)とはいえ、大きな買い物です。

ハワイ州法では、Time Shareの売買契約は契約締結日または開示書面受領日のいずれか遅い方から7日以内に相手方に解約の意思表示を通知することで解約できます。http://hawaii.gov/dcca/pvl/hr s/hrs_pvl_514e.pdf
7日というのは旅行中であることを考えるとかなり短い期間です。契約の解除をしたい、と思われたら迅速に解約通知を相手方(売主)に送付する必要があります。ご自分でやり方がわからなければ早急に英文契約書の読める弁護士に相談されることをお勧めいたします。

解約通知には、解約通知の受領書がほしい旨付記しておくとよいと思います。
クレジットカードでの支払いの場合、カード会社への連絡も忘れずに。
カード会社に相手からの解約通知受領書面を示して契約が解除されたことを説明すると、引き落としを止めてくれると思います。

ハワイは素晴らしい場所です。楽しい旅行を苦い思い出にしないよう、契約書に署名する前によく考えましょう。