New York
州法では、非居住者である弁護士はNew
York 州内に事務所を置かなければならないとされている(section
470)。New
York 州の居住者は州内に事務所を有する必要はない。
この規定の合憲性が連邦裁判所に提起され、連邦地裁は違憲(合衆国憲法)との判断を下した。
原告はEqual
Protection Clause, Commerce Clause 等の主張もしたが裁判所がとりあげたのはPrivileges
and Immunities Clause 違反の論点。
Law
School(UC Hastings)のConstitution Iの学期末試験の問題を思い出した。
ある州でその州のLaw
Schoolを卒業した者には無試験で弁護士資格を付与する、それ以外の者は司法試験を合格する必要がある、という制度にした場合について論ぜよというものだった。
ころころ変わる日本の司法試験制度を見ていたせいか、どのような制度をとろうと政府の勝手でしょう、のような意識があり、どうしてこれが憲法上の問題になるのか、と思った。法律家になることが憲法で保障された基本的人権か?
弁護士が州際通商の道具であるとは認識してなかったし、privileges
and immunitiesは州民か否かで差別的取り扱いを禁じているので、州のlaw
schoolを出たか否かで区別するのは州民か否かとは関係がないと思った。
類似の論点で実際の訴訟が進行していたとは思いもしなかった。
判決では、doing
businessはfundamental
rightであるとし、New
York 州内に事務所を置くというのは居住者に比べ非居住者に余分な費用負担を強いるものであるからprivileges
and immunitiesに抵触するとする。
被告New
York
州は居住者であることを弁護士の要件とはしておらず、単に事務所を州内に置くよう求めているだけである、これはより居住を要件とするよりより制限的でない要件である、そのように判示した裁判例もある、と主張したが、容れられなかった。
次に判決は、州がprivilege
and
immunitiesに抵触する法を設けることを正当化しうるかを検討し、その違憲審査の基準は、目的が実質的な州の利益か、手段に実質的な関連性があるか、であり、立法目的が合法か否かの基準ではないとした。
そして、州の主張する目的を1つずつ検討した結果、州の主張をいずれも退け、原告の請求を認容した。
この判決は、論理の流れが構築的でわかりやすく、美しい文章だと思う。こういう文章を私も書けたらいいなあ。
興味のある方は是非ご一読ください。
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