2011年11月30日水曜日

The result notice from BOLE


New York Bar Exam の合格発表は「11月の半ば」(mid-November)となっていて日は特定されていない。当時San Franciscoの法律事務所で働いており、ボスからときどき発表はまだなの、と言われていた。
知りたいような、知りたくないような。そうしているとBarbriからメールが届き、確率から合格の可能性の方が高い、しかし万一のことがあればBarbriに電話して今後の勉強方法を相談するように、といった趣旨のことが書いてあった。Barbriは、不合格の場合、同一の州の2月の受験のための授業を無料で提供している。またそのメールには、BOLEは今週中には合否の公表をしないだろう、とも書いてあった。

今週中の発表はない、というBarbriのメールで少なくともその週末まではどきどきせずにメールチェックができる、と思っていたら金曜の夕方facebook経由で友人から “Congratulations” のメッセージが届いていた。どうして?と尋ねると、ひとつの記事を教えてもらった。その記事によると、金曜の朝、BOLEwebsiteに合格者の氏名のリストが公表され、すぐに消えた、しかし氏名のコピーを取っていた人がいて、そのリストがジャーナリストの手に渡った。そのジャーナリストがBOLEに問い合わせると公表していないとの答えだったが、リストを見たところ何人か知っている受験生の名があり、真実らしいと思ったのでネット上でいきさつを説明してリストを公開した、となっていた。その後BOLEが合格通知メールを受験生に送ったらしい。Internet ってこわいなあ。
というかBOLEといえどもアメリカ人で日本の官僚のようなきっちりした仕事は苦手なのか。

当時Berkeleyguest houseに住んでいて、同居人はAustralia人 の宇宙物理学者とFranceComputer scientist 夫婦だった。彼らに合格を祝福してもらった。またその少し前まで同居人だったHolland 人の経済学者もBerkeley にいたので彼にも合格したことを連絡すると翌日の土曜日にguest houseに現れて近所のお気に入りのcafe, Berkeley Espresso で合格を祝ってもらった。

2011年11月29日火曜日

Notary Public


Affidavitをアメリカ国内で作成するのはとても簡単だ。書類に必要事項を記載し、街のいたる所にいるnotary publicの所に持って行って手数料を払って本人確認をしてもらえばよい。http://www.nycourts.gov/ad3/Admissions/GoodMoralCharacter.PDF

なお、affidavitは内容について知っている限り間違いがないことを宣誓(swear)して作成するものである。いつも思うのだけど、一体何に誓っているのだろう?キリスト教の神様?異教徒はどうするのだろう。無神論者は?日本で宣誓することにはどんな意味があるのだろう?
もっとも日本では裁判所に提出する陳述書には内容の真実性について宣誓さえされていない。嘘を書いてあるという前提で読めということか?それで内容が嘘でも誰も気にしないのか?陳述書を出すと証人尋問の意味が薄れるとか言って出さない弁護士もいる。そんなことを言うなら徹底した証拠開示を前提にしてほしい。証拠は隠す、陳述書は出さない、これでは裁判は八卦みたいなものに見えてくる。

それはともかく、このAffidavit, 合衆国の領域外で作成するときには担当官の証明書を添付せよとなっている。やっかいなことだ。日本で似たものと言えば公証人が作成する公正証書だが、公証人とnotary publicではかなりニュアンスが違う。日本の公証人は引退した裁判官や検察官がなっていることが多いがnotary publicはどんな田舎町でもdrug storet店主などが資格を取得して取り扱ってくれるらしい。Professor Dodgeの “Transnational Business Problems” によれば、notary publicは非専門家(non-professional persons)、事務員(secretaries)、店主(shopkeepers),etc notary sealを押すだけの仕事とされ、ドイツ、フランス、メキシコの類似の名称の職業と区別するようにと記載されている。なお、Californiaではメキシコの “notarios” と混同しないように、アメリカのnotary publicがスペイン語表記をするのを禁じているそうだ。(Detlev F, Vagts, William S. Dodge & Harold Hongju Koh,Transnational Business Problems 12 (4th ed, 2008))

公証人の手数料もさることながら、そもそも英文で公証してくれる公証人を探せるだろうか、とほぼ絶望的な気がしたとき、New York 州弁護士の資格を取得している日本人に聞けば方法がわかるのではないかと思いつき、林邦彦弁護士に問い合わせをしてみた。答えは予想外のものだった。
「アメリカ領事館にnotary serviceがある。」http://osaka.usconsulate.gov/service.html

確かに書式の文面をよく読むと、 “..outside the United States, its commonwealths, territories,or possessions..”となっている。アメリカ領事館はこのいずれかに該当するのだろう。

かくして少なからぬ数の先生方にアメリカ領事館に行っていただくことになった。中にはこのためだけにパスポートを申請してくださった先生もいらっしゃった。私は多くの人たちのご好意に支えられてaffidavitを揃えることができた。

2011年11月28日月曜日

Registration Procedure



試験の翌日、どこか閑散とした帝都(The Capital City of the Empire State)でのんびり過ごし、Washington DC 経由で深夜San FranciscoMayと二人で帰った。その週末にはMayWendyは慌ただしく帰国した。中国の司法試験の願書受付に間に合うかどうか、間に合えば数カ月後のChinese Bar Examinationを受験すると言っていた。Mayとは1月のswearing in ceremony Albanyで会おうと約束をした。
その後まもなくStephanも帰国し、Yang Yang, SherrySan Franciscoを離れた。San Franciscoは寂しい街となった。
Bar Examinationが終わると猶予されていた寮の明け渡しをしなければならない。私は寮から1キロほど離れたAlamo Square近くの Victorian Houseに部屋を借りた。

2010San Francisco8月は霧に包まれ冷たい雨が降っていた。あまりに寒いしすることもなかったので太陽を求めてGrand Canyon に行くことにした。合格発表は11月。それまでしばらくBarのことは忘れていられると思っていた。
Las Vegasをベースにして、一週間ほどColorado riverでのraftingGrand Canyonを散歩したり、Las Vegasを観光したりしてSan Franciscoに戻った。

San Franciscoに戻り、一人でWestfield の地下で昼食をとりながら、何の気なしにメールのチェックをすると、New Yorkからメールが届いていて、何かを提出しろと書いてある。が添付ファイルをがうまく開かない。受験手続き書類に不備があったというのであればどうしよう、と不安になり、UC HastingsLibrarycomputer labに急いだ。

Labでメールの内容と添付ファイルを読んで唖然とした。
1月の宣誓式に出席できる数には制限があり、登録書類の先着順で出席者を決めるので、登録書類の準備を始めるように、との指示だった。しかも要求されている書類のほとんどはaffidavit。今までの法律関係の職場の上司affidavits、2年以上のつきあいのある法律家2
名のaffidavits。どう考えても日本の弁護士に作成を依頼しなければならない。しかし日本でどうやってアメリカのaffidavitを作成できるのだろう?

Photo; Desert tea I bought at a souvenir shop in the Grand Canyon, At the kitchen of the Victorian House 

2011年11月27日日曜日

Summer has come in San Francisco!



6月になるとSan Franciscodown townにはMarket Street沿いに7色の旗が飾られる。そして6月最後の日曜はSan Francisco最大の祭りと言われるPride Parade. パレードが近づいて来る様子にそわそわしていたらMayが行こうと。http://sfpride.org/?ifr=parade/

Just marriedとプラカードを掲げたsame sex marriage coupleたちに混じって、結婚40年目と掲げたcoupleが手をつないで歩いていた。とても感じのよいcoupleで、だけど40年というと当時は大変だっただろうなと思う。いや、今だって差別がなくなっているわけではない。どういう文脈でだったかは忘れたが、case bookには長年活動をしていたBoy scoutから除名されてしまった青年の事例があったし、子供が学校でいじめられて自殺に追い込まれるのを防止したいと議会に訴えている人の演説のビデオも友人に教えられて見た。ハンバーガー屋の中で人前で公然と女の子二人からひどい暴行を受けているtransgender の子供の映像もネットで見た。どうして自分と違うという理由で排除しなければならないのだろう?
この日、Civic Center前の広場では屋台が並び、無料で景品の当たるゲームもしている。強い日差しで気温は高め。Bay Areaではこのころが一番夏らしい。祭りのテーマカラーの7色のビーズのネックレスを買い、結局夕方までうろうろ遊んでいた。

そして7月4日はIndependent Day. San FranciscoではPier で花火があがる。これは見たい。http://sanfrancisco.about.com/od/sfevents/a/San-Francisco-July-4-Events.htm
ということで友人たちと誘いあわせて出かけることにした。どのバスが花火のスポットの近くに行くのか、と考えていたら行き先表示が “Firework”となっているバスが来た。わかりやすい。海辺で見た花火はとてもきれいだった。国旗の色の赤と青と白の花火が印象的だった。帰りはもうバスはない。大勢の人と一緒にぞろぞろと街へ向かって歩いた。UC Hastingsの寮はこういう時でもそこそこ歩けば帰れるという便利な場所にある。Stephanは歩きながらpropertyの用語のNew YorkCommon Lawの使い分けの説明をしていたが、こんな細かいことは試験に出ないだろう、とこの時点では安易に考えていた。

Paradeも終わり、花火も終わり、試験まで残り約3週間。いよいよ準備の最終段階に入った気がした。

2011年11月26日土曜日

Taking the exam in NYC


散歩の途中で立ち寄った書店で「図書館ライオン」(“Library Lion”)の絵本を見つけ、
New York Public Library の書店でこの本に出会ったとき、欲しいなあと思ったのを思い出した。http://www.michelleknudsen.com/library_lion_77788.htm
日本語訳がでているとは知らなかった。

StephanOkanNew York Cityを会場に選び、そのときに撮影した写真の中にNew York Public Libraryの豪華な天井画の写真があったので、後日、New York City ではPublic Libraryで勉強していたのかと尋ねたら、行ってみたけどうるさかったので別の場所にいたとのこと。一体この騒々しい街のどこで勉強していたのだろう?

StephanOkanはどちらも合格しているし、あまり受験会場については語ってくれなかったのだが、7月末のNew York Cityは暑く、会場となったホテルの中は冷房がききすぎていて、温度差が大きくので身体的にきつかったと言っていた。

New York Public Libraryは素敵な場所だし、入り口のLionも大好きなんだけど、受験地としてはAlbanyの方がよさそうに思うなあ。

2011年11月25日金曜日

MBE(The multistate examination)


New York Bar examinationの2日目はMBEhttp://www.ncbex.org/multistate-tests/mbe/
MBEmultiple choice試験で200問中190問が採点対象となる。出題範囲はConstitutional Law, Contracts, Criminal Law and Procedure, Evidence, Real Property,Torts. ContractsTorts 33問、Constitutional Law, Criminal Law and Procedure, Evidence,Real Propertyが各31問。午前3時間、午後3時間の体力と集中力の勝負。途中で何が起ころうともコンスタントに問題を読んで答えるという神経が要求される。

問題は課目別ではなくランダムに並んでいる。解答はNew York法ではなくアメリカ法の一般原則に基づいて答える。New York 法がアメリカ法の一般原則とは異なることがあり、これらはNew York distinction と呼ばれていた。初日はNew York dayとしてmultiple choice essay questionsNew York 法に基づいて解答し、2日目のMBEは一般原則で答える。といっても例えば登記と優劣など、州によって制度が異なるようなものは、問題文の中にどの制度に基づいて答えるかを指定してある。

20107月のMBEにはforeclosure の優先関係を問うものが多かった。おそらく現実に多数起きているのだろうと思っていたら、銀行が抵当権を次々に実行していることが社会問題となっていた。抵当権の先後関係はむつかしくはないのだが当事者が多数で時系列に事象が並べられているので問題文が長い。時間をとられるのが難点だ。開始後しばらくは順調なペースだったので少しペースを落としても大丈夫かなと思っていたら中程に長文の問題が多く、このペースでは制限時間内に全問終わらないと思った時点で軽いパニックを起こした。私が英文を理解するには精神的に落ち着いている必要がある。パニックを起こした時点で問題文の意味が不明になったので、長文の問題を4問くらいとばすことにした。そうするとちょうど予定していたペースに追いついたので落ち着いた。数問とばしたことは無視することにした。最後にCでも塗りつぶしておけばいいや。
最後まで解答し、飛ばした問題に戻ったところ、落ち着いて読めばたいしたことが書いてあるわけではなかった。最後に1問、数回読んでも意味がよくわからないのがあったのでそれはCにしておいた。

New York Barの合格は人数ではなく点数で決まる。合計点なので、どこで点をとってもいいわけだが、Barbriでは一応の合格の目安としてMBE60%くらいと言っていた。私の場合、essay questionsはともかくMPTで全く点が取れる気がしなかったので、MBEで取れるだけの点は取っておこうと思っていた。最終的に問題の難易度によって配点に差をつけて補正するようで結果は整数値ではない。結果が届くと70%を超える得点を取得していた。

2011年11月24日木曜日

Barbri method


CommencementのころBarBriから本が届いた?が友人たちの間で挨拶のようになっていた。New York Bar courseは東部でのlivecourseから1週間遅れで始まる。San Franciscoでは525日火曜日(2010)から始まった。アメリカでは何かをするのに火曜日というのが多い。例えば選挙は火曜日。日曜日は教会に行かないといけないので、月曜に選挙地まで移動するから火曜日と聞いたように思うのだが、Barbriが火曜日にスタートするのはNew York Bar Examが火曜に始まるからそこから逆算してのことだろうか? そしてBar Examが火曜日というのは選挙日と同じ理由だからだろうか?

Barbriでは講義と宿題の予定表を配布してくれる。分厚い本が何冊も届いたが、半分は宿題の問題集だ。解説本が何冊か入っていたが講義の際、主に使用するのはノート用の本。これは各課目の重要事項をまとめてあるが、文章のところどころが空欄になっていて、講師がこの文章を読み上げるときに空欄を埋める方式になっている。受講生が寝ないように、かつ講師の説明の筋道を聞き間違わないように、との配慮だろうか?授業の後でこのノートをさらにコンパクトにしたメモを自分で作成してそれを試験直前に読み返すようにとの指示があった。分厚い解説書の方は深く知りたいときだけ読むようにとのことだった。
私にとっては英語のhearing lessonみたいで楽しい。Barの勉強をしながらhearingも練習できる、一石二鳥のような講義。のはずなのだが、聞き損なうとやっかいだ。最初はMayIrene にノートを見せてもらっていたが、なぜか聞き落とす箇所はだいたい同じ。そこで近くに座っているnative speakerたちにノートを見せてともらうことにした。
最初の週末の宿題MBE(The multiple bar examination)tortの問題集で、各自ビデオの解説を見ておくようにとのことだったので、Stephanleadershipを発揮し、みんなで一緒に宿題をしようと土曜日に図書館で集合する。このときのメンバーの母国はGermany, Turkey, China and Japan.
最初は制限時間内に終わらないので長めに時間をとって解答し、ビデオを見ながら採点する。多分このメンバーは誰もtortの授業を聞いていなかったと思う。時に不可解な解説内容に自国の法規範と違うなどと文句をいいながら、それでも繰り返しているうちにtortの解答の要領がつかめるようになってきた。
その後宿題をこんな時間のかかる方法でする余裕がなくなったが、このときのメンバーはよく一緒に勉強していた。近くにいるとわからないことがあったら誰かに聞けるし、Stephanは分厚い解説書を読んで説明してくれるし。

Essay questionの解答を書こうとすると言いたいことを表現するための適切な単語がすぐに出てこないことがわかった。特に民法になると日本語でまず解答を思いつき、それを表現しようとすると日本語が硬すぎて対応する英語の単語が思い浮かばない。そこで白紙のカードを100枚購入し使えそうな単語や表現などを書きだすことにした。その他、覚えておきたいことはどんどんカードに書いた。30分あれば1枚カードが作れるし、10分あればカードを取り出して読める。Barbriでもカードの作成は勧めており、Subwayでも取り出して眺めていること、と言っていた。どうして地下鉄で?とそのときは思った。今から考えるとsandwich屋さんか?いややはり地下鉄に乗っているときのことか?両方?

ノートをまとめ、カードを作り、宿題をする。時間はいくらでも必要で、カードを作る作業は飽きない。時間制限があり、試験のプレッシャーがあるのでいつもちょっと高揚した気分で楽しい。ときに勉強に疲れた様子のJDから、あなた2つ目のBarでしょう?既にひとつ受かっているからいいわねえ、と言われたりした。私にすればJDは英語に不自由してないからいいなあ、と思っていたのだが、言われてみればlawyerになれるかどうかがかかっている彼らに比べ、私は落ちたって日本の弁護士だ。もっとも落ちたくない、いや日本の弁護士として落ちるわけにはいかない、というプレッシャーはかかっている。受かって日本法の方が精緻で進んだ法であることを証明してやる。

2011年11月23日水曜日

Security policy



試験当日に会場へ持ち込める物は極めて制限されている。http://www.nybarexam.org/Docs/secpolicy.pdf
これを見るとわかるように制限列挙なのだ。しかも所持品は1ガロンの容量の透明な袋1つにいれておかなければならない。Barbriでは試験前に袋を配布していた。なおこれとは別にLaptop bagの持ち込みは認められている。
電子機器はZero Tolerance Policy。デジタルの腕時計もだめ。

BOLEの所持品制限の告示はとりあえず言っているだけ、というレベルではなく、入り口で所持品検査をする。そのため初日に会場についたら既に大勢の人が会場前で列を作っていた。検査に時間がかかるようだ。以後早めに会場に着くようにした。中で待っている方が外で並んでいるよりましだ。

ボールペンは黒が青のみ。それも筆記試験のある初日のみ。マークシート試験の2日目は筆記具はNo.2 pencilのみ。初日が終わってからホテルで注意書きを読み返してこれに気づいたので2日目はボールペンを持たずに行ったが、知らなかった人が結構いたようだ。所持品検査でひっかかったボールペンが、試験終了後出口付近の机の上にずらりと並べられていた。同種のペンが多いのでどれが自分のか見分けなんかつかないだろうな。
マーカー等のハイライトの持ち込みも禁止。Barbriの講師は、青のボールペンをマーカーとして使用すればよいと言っていたので試験前に準備した。なおCalifornia Barを受けた友人はCalifornia ではマーカーの使用が認められていると言っていた。

初日に入り口で本人確認をすると紙製のwristbandが渡され、2日間装着をしておくようにと言われる。以後は入場の際に腕を挙げて装着していることを示す。シャワーの際に破れたらどうしようと思ったが試験終了後に引きちぎるのがめんどうなほど丈夫な素材だった。ひきちぎると端がほつれるように切り目が入っている。 

Security Policyに違反した場合のpenaltyには当該試験の無効だけでなく、将来の試験資格の剥奪、Character and Fitness committee への報告等が並んでいる。手続きでトラブルのが一番怖かったので試験終了の合図と共に筆記具から手を離し、以後一切疑われるような動作はしないようにしていた。2日目の午前の試験終了後、答案提出のために通路に並んでいたとき、ふと見るとアジア系らしき女性がまだ答案を書いている。一体何をしているのかと呆然と見ていたらproctorが来て鉛筆を置きなさい、と指示した。彼女が鉛筆を置いて立ち上がろうとしたらproctorは動かないで、委員会に報告をします、と言っていた。
アジア系はルールに対してルーズなところがあるのだろうか?
その日の午後の試験では試験終了の合図と同時に全員起立を指示された。

この試験後、日本の大学入試で携帯でカンニングをした人がいるとのニュースを見た。試験会場に携帯の持ち込みができるというのに驚いた。規則がいいかげんなのか入り口の所持品検査がいかげんなのか。持ち込ませていて使わないか試験監督に受験生を見張れと言うのに無理がある気がするが。それとも日本では携帯はいついかなるときも肌身離さないものという常識でもあるのだろうか?と思っていたら高校の先生が、入り口で受験生の持ち物検査ができるのか、などとコメントしているのを見てあきれた。さらにカンニングをした受験生を憐れみ、告訴した大学を批判する意見がでるにいたっては、アジア的なんだろうなと思う以外に理解のしようがなかった。きっと、ルール違反はアウトという正義の感覚は日本人の感性に合わないのだろう。

2011年11月22日火曜日

Summer days in Albany


New York Bar Examinationは7月末の2日間だった。夏である。

San FranciscoBarbriの講義はSt. Mary Cathedralの地下で行われていた。(もっともこのCathedralは急斜面に建っているのでもしかしたら1階なのかもしれない。)近代建築と伝統的な教会建築とが融合したようなこの教会は天井のステンドグラスも美しいのだが、夏のSan Franciscoは寒い。とりわけ教会の地下は寒い。
隣の大講義室ではCalifornia Barlectureliveで行われているが、New York Bar courseは受講者が数が少なく、小さな部屋でビデオ講義だ。ひっそりと薄くらい部屋で10名程度でビデオを見ているのが気分的にわびしいだけでなく、時に寒くて指がかじかんでノートがとれない。
そんなSan Franciscoから来ると太陽の降り注ぐAlbanyの町は嬉しい。夕方、日の当たるテラスでピザを食べていたら店の女の子が暑くないかと尋ねたので、San Franciscoが寒かったので太陽を楽しんでいると答えると、信じられない様子だった。

時差の調整もかねて、試験の2日前にAlbanyに到着するようにしたが、要点をまとめたノートとカード、それに試験直前にBarbriが配布してくれた最新判決の要旨集くらいしか持って来なかったのですることもなく一人で散歩をしていた。

Crown Plazaの近くにStarbucksが一軒。坂を下るといくつかのCafepubが並んでいる通りが1つ。周辺には江戸末期から明治初期の創業年の刻まれた小さな銀行の建物と建国以前からの教会がたくさん。坂を登るとお城のようなCapital Hillとそれを取り囲むように並ぶNew York政府の高層ビル群。夏のせいか、あるいは議会が開催されていない時期だからか、休暇中の店が多くなんだか閑散としている。この町で見かけるのはほとんど受験生ばかりのようにさえ思える。
http://www.albanyny.org/home.aspx

Mayと私は試験終了日の翌日の夕方の飛行機でSan Franciscoに帰る予定だったので、半日町を観光することにしていた。朝一番に観光案内所に行って地図をもらうと、AlbanyにはThe first church http://www.firstchurchinalbany.org/ などの歴史的建物や New York州及び連邦裁判所などの施設があることがわかった。さらに町では彫刻のイベントも開催されていて、町のあちこちにリアルな彫刻が置かれている。高速道路をまたぐ陸橋を渡るとHudson River沿いの公園にも行くことができる。公園には見たことのない大きな鳥の群れがいる。たぶんgeeseなんだろう。

午前中は博物館やCapital Hillの美しい階段などを見て、午後は公園でのんびり過ごした。公園では音楽祭をしていた。
途中、是非行ってみたい、ということでだめもとでNew York Court of Appeals(New York 州最高裁判所。http://www.courts.state.ny.us/CTAPPS/
なおNew York 州でSupreme Courtは事実審裁判所。http://www.nycourts.gov/supctmanh/General_Overview_of_the_Court.htm
ちなみにCaliforniaではSupreme Courtは最高裁。http://www.courts.ca.gov/supremecourt.htm)を訪問した。
裁判所は夏季休暇中だったが入り口でNew York Barの受験生だというと警備員がlaw clerk を呼びに行ってくれた。柔らかな物腰の、知的な雰囲気の若い女性が現れ、法廷を案内してもらった。なるほどこれが東部のエリートというものか。
写真は帰り際彼女が記念にとくれた鉛筆。New York State, Court of Appealsと印刷してある。

2011年11月21日月曜日

Times Union Center


BOLE からようやく会場の指定の連絡があった、と思ったらTimes Union CenterArenaと記載されている。Arenaで受験ってどういうことだろう?Ice hockey のリンクで受験している姿などちょっと想像がつかない。 
私より数日早く受験地をAlbanyと回答したMayは空港近くのホテルが指定されていたし、受験資格の確認がなかなかできずに回答が遅かったJoshuaは市街地からかなり離れた場所のホテルを指定されたので、回答順に空港の近くから割り振っていったと思われる。

土地勘もないし、どういうTimes Union Centerが施設なのかも見当がつかないのでとりあえず同施設のwebsiteのあちこちをクリックしていたら、lunchの予約受付というのを見つけた。土地勘のない場所で、混雑が予想される昼食を予約しておけるのは嬉しい。早速予約し、同様にTimes Union Centerを指定されたIreneにも予約できることを伝えた。なお、宿泊したCrown Plaza Hotelのロビーの一画にStarbucksの屋台があり、そこでも試験期間中のlunchの予約を受け付けていた。しかしこれは行ってみないとわからない。会場とホテルはごく近いため、午前の試験が終わったら出口付近で予約していたlunch boxを受け取り、ホテルに帰って部屋で昼食をとり、会場に戻って午後の試験を受けた。

Times Union CenterArenaでの受験は予想外に快適だった。周囲を観客席に囲まれた競技場に机と椅子が並べられ、パソコンの電源用のコードが配線されている。競技場だけあって、真上から強い照明があたっている。受験生の数の多さとあいまって競技会かなにかのイベントように見えなくもない。Barbriの講師が、隣の人と答案用紙を取り違えた受験生たちがいて、提出直前に間違いに気づいた彼らはやむなく答案用紙を交換した、という話をしていたのを思い出し、そういうことはしないように気をつけよう、と思った。その話のおちは “ふたりとも合格した” だったけど。

Times Union Centerのすべての場所がArenaほど快適な試験場なのかはわからない。Ireneは小さめの部屋を試験場に指定されていたようだし、休憩時間にArenaから出てみたら、通路の階段下にも机が並べられており、ここだとかなり照明が暗いのではと思った。いや照明以前にもともと人が長時間滞在することを想定していない場所のような気がする。
試験後Mayに聞いてみたら空港ホテルの会場はホテルのball room で照明が明るく快適だったと言っていた。Buffaloで受験した人たちによれば、会場はホテルの地下の会議室でいまいち、とのことだった。

2011年11月20日日曜日

Subjects which may be tested


New York Bar ExaminationNew York 法の出題範囲は以下の通りとされている。

           (1) business relationships including agency, business corporations, limited liability companies,        partnerships and joint ventures; 
            (2) civil practice and procedure (New York, except as noted);
(3) conflict of laws;
(4) New York and federal constitutional law;
(5) contracts and contract remedies;
(6) criminal law and procedure;
(7) evidence;
(8) matrimonial and family law;
(9) professional responsibility;
(10) real property;
(11) torts and tort damages;
(12) trusts, wills and estates;  
(13)UCC Articles 2, 3 and 9.
この内、(2)CPLR(civil practice law and rules)と言われるNew York法が規定しているので、まずCalifornialaw schoolでは教えないだろうし、(4)のうちNew York ConstitutionCaliforniaでは教えないだろう。他の課目はCalifornialaw schoolでもNew Yorklaw schoolでも同じような内容を教えていると思う。ただ、JDだと1年目と2年目で基本をほとんど履修しているのだろうが、LL.M.は期間が1年しかないのでこれらの課目を全部履修するのは時間的に不可能だし、せっかくアメリカに勉強に来ているのに、やりたいことよりBarの課目を優先というのではつまらない。

UC HastingsInternational programProfessor Paulから入学時に、Barの受験を考えている人はProperty,Constitution 1 and Evidenceは授業を聞いておいた方がよい、それ以外はBarを気にせず、それぞれの興味のある課目を履修するように、というアドバイスがあった。理由はこの3課目がとてもアメリカ的だから、というものであった。とりあえずこのアドバイスに従った時間割を組んだが、振り返るとこれはとても正しいアドバイスだったと思う。

Propertyは財産権法と訳すのだろうが、少なくとも私の知っている民法の世界観からは冗談としか思えないような世界だった。最初は地役権(のようなもの)とか時効(のようなもの)などの訳語をあてて考えていたが、途中から訳語をあてはめようとすると概念の違いに余計に混乱すると思い、呪文だと思うようにするとなんとなく自分の中で折り合いがついた。
日本にいるときは日本の法は明治以降に西欧の法典を取り入れた借り物で根無し草のようだと思っていたが、中世から連綿と根っこをひきずっている呪文のようなものを見ていると、大陸法というものが中世と決別した近代法典であり、理性への信頼に基づいて人為的に整備されたものだと感じた。こんなわけのわからない何かが日本の民法でなくてよかった、としか言えない。なにしろ教授の説明によると、ある弁護士がこの複雑なアメリカのルールに基づいて作成した遺言書が裁判所で無効となり、遺族が作成した弁護士を弁護過誤で訴えたら、裁判所がこのルールは誰にも正確にわからないから過失なしとした、というのだから。この複雑怪奇なルールがすべてのアメリカの財産権を規律しているというのが納得がいかない。高度に発達した複雑な取引社会を載せる基盤としてこれで足りているのだろうか。

Constitution 1、はUC HastingsではConstitutionの統治機構のパートの講義を意味する。連邦と州の関係が理解しにくいのに加え、大統領権限がさらにややこしい問題となっている。州と州との争いについてなど、アメリカについてろくな知識もないため、教授の双方の州の位置関係に関する説明を聞いて初めて訴訟にまで至る州の怒りが理解できたりする。私としては自州民を保護したいと思う州の気持ちにいたく同情するのだが、非情とも思える最高裁判決が出される。連邦制というのは狭い地域の利益とは相容れないものらしい。このあたりの議論を見ていると、アメリカは日本に対し、結構配慮している方ではないか、いや忍耐強いとさえ言えるかも、と思えてくる。
日本にいるとJapan as No.1だの、世界第二位(今や第三位だけど)の経済大国だのと頭の中の世界地図で日本がやたら大きく立派に見えているけど、先入観なしに世界地図を見ると、日本はCalifornia1州より小さい、太平洋に浮かぶいくつかの島からなる国である。

そしてEvidence。刑事も民事も含めて証拠に関する規定である。そういう概念が日本法にない。おまけにランダムに立法したのでは、と疑ってしまう内容で、どういう体系になっているのかずいぶん考えた。さらに参考書に記載されているある説明がどうしても意味がわからず、ついに教授に質問に行ったら(誘拐されていた人が監禁されていた部屋の内装を証言できるなら、その証言の内容の真偽にかかわらず、誘拐されていたことの証拠である)、教授は証言内容が真実でないなら、誘拐されていたということの証拠にはならないとかしばらくぶつぶつつぶやいた後、だからこの説明は私のcase bookには書かなかったのだ、とおっしゃった。まったくこの国の法には謎が多い。

いやつまり結論として、Professor Paulの助言は極めて正鵠を得ていたのだ。
Barを受験する人は、Property, Constitution 1 and Evidenceは履修をしておいた方がよい。

2011年11月19日土曜日

California Bar


今日のfacebookの様子からすると、California Bar の合格発表があったようだ。
Congratulations for everyone who passed the California Bar Examination!

California Bar は全米で最も難しいと言われている。

合格率もさることながら、New York Bar に比べ、California Barの方が高い英語の表現能力を求められるように思う。英語の文法や単語の間違いについて、New Yorkは減点はしないと言われているが、Californiaでは減点をするとのこと。California bar examination ではsoftestspell check機能は使えるが、受験したJDの友人はspell checkしている時間はなかったと言っていた。

試験期間はNew Yorkが2日に対しCaliforniaが3日。試験は同じ日に始まるので、私が2日目の試験終了後に終わった、とCaliforniaの友人たちにメールを送ると羨ましがられた。3日間集中力を持続するのは気力、体力共に大変なようだ。私は2日目が終わった時点でもう疲れた、モチベーションがあがらない、とメールして来た友人を励ましていたが、別の友人は2日目の試験で失敗をした、もう3日目は行かないと言うのを周囲が励まして3日目も行かせたそうだ。ちなみに両者とも合格した。ときどきアメリカの法曹は体力勝負だ、と思う。なお、Barbriでは、bar examinationではあらゆることが起きる、試験者は君たちがgun pointの下でどのように行動するかを知りたいのだ、と受験生を励ましていた。まったくなんて国だろう。

MPT(multistate performance test)New York Barでは1問で試験時間90分なのに対しCaliforniaでは2問でしかも1問あたりの時間が3時間くらいだったと思う。Multistate なので基本的な設問は同じはずだが、Californiaを受験した友人たちの話を聞くと渡される資料の種類も多いのではないかと感じた。ただ、実際に手にとって比べていないので本当のところはわからない。英語を母国語とする受験生にとっては点数の稼ぎどころのようであるが、英語を自在に操ることができない受験生にはMPTはとてもとてもやっかいな試験である。