2011年11月5日土曜日

Eligibility 3


LL.M.classmateに韓国人の弁護士がいた。彼も当初NY州の試験を受けると言っていたがが、後にNY州の受験資格がないことがわかった。経済学部出身だから、というのがその理由である。彼はすでに本国で弁護士資格を取得している。それにもかかわらず経済学部の出身だという理由で受験を認めないというのは不思議な気がした。韓国の司法試験は世界でも最難関の試験の一つであり、その試験に合格しているということは出身学部にかかわらず、一定の法律学の知識と法的なセンスを持ち合わせていることを証明していると思う。韓国人弁護士にeligibilityがないなら一体誰にeligibilityがあるっていうの?くらいの感じである。
Professor Dodgeの“Transnational Business Problems”(Detlev F, Vagts, William S. Dodge & Harold Hongju Koh,Transnational Business Problems 13 (4th ed, 2008))は、Chapter 1International Legal EnvironmentにおいてForeign Lawyersについて、外国の法学教育はアメリカのlaw schoolと実質的に異なる、ほとんどの大陸法系の国では高校卒業後すぐに、ときに1500人もの定員を有することもある法学部に入り、大学ではなく政府が実施する一般的な法曹試験で資格を付与するため、単なる法曹資格の付与による資質の保証の信頼性は低い、と論じている。
この部分は何度読んでも意味がよくわからず、私の読み間違いではないかと思うのだが、もし読み間違いでないなら、著者は、大学を卒業してから入るgraduate schoolで少人数で3年間法律の専門教育をするアメリカ式のlaw schoolは法曹となる資質を確保するよいシステムで、これ以外の方法によって育成された弁護士はその資質が信頼できない、と考えているのではないかと思われる。
BOLEがLL.M.を取得した韓国人弁護士に経済学部出身という理由で受験を認めないのは、法曹の資質について上記のように考えているからかもしれない。
TPPでサービスが開放されたら弁護士の資格が相互承認されるのでは言っている人がいるが、BOLEeligibilityを見ても自州の専門職の資格を安易に考えていないことがわかる。さらにアメリカの弁護士資格は州ごとである。万一アメリカとの法曹資格の相互承認という議論がでてきたとしたら、どの州の弁護士にどの範囲の活動を認めるのか、そして日本の弁護士がどの州でどの範囲の仕事ができるのか、という細かい議論になると思う。
自国で法学部を出ていないという理由でLL.M.を取得した韓国人弁護士に受験資格を認めない州もあれば、そもそもLL.M.には受験資格を認めていない州もある。http://www.wyomingbar.org/admissions/index.html 
また、NY州のBar Examinationを合格してもJDLL.M.の扱いは全く同じではない。JDDCbarに無条件で登録できるが、LL.M.には要件が課されている。どこの州も自州内で活動する弁護士の質には気を配っている。連邦内の他の州の弁護士に全面的な自州内での活動を認めていないのに、外国人弁護士に全面的に自州内での活動を認めるとはちょっと考えにくいのだが。

えっ、どうしてWyomingかって? それはJDの友人たちとBar Examinationの話をしていたとき一人が「知ってる?WyomingではWyominglaw schoolを出てもWyomingbar examinationには通らないのですって」と言ったので、もしかしたらWyomingは法曹過疎で仕事が余っているかもしれない、と思いちょっとeligibilityを見てみたという次第。

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