New
York Bar ExaminationでのNew
York 法の出題範囲は以下の通りとされている。
(1)
business relationships including agency, business corporations,
limited liability companies, partnerships and joint ventures;
(2) civil practice and procedure (New York, except as noted);
(2) civil practice and procedure (New York, except as noted);
(3)
conflict of laws;
(4)
New York and federal constitutional law;
(5)
contracts and contract remedies;
(6)
criminal law and procedure;
(7)
evidence;
(8)
matrimonial and family law;
(9)
professional responsibility;
(10)
real property;
(11)
torts and tort damages;
(12)
trusts, wills and estates;
(13)UCC Articles 2, 3 and 9.
(13)UCC Articles 2, 3 and 9.
この内、(2)はCPLR(civil
practice law and rules)と言われるNew
York法が規定しているので、まずCaliforniaのlaw
schoolでは教えないだろうし、(4)のうちNew
York ConstitutionもCaliforniaでは教えないだろう。他の課目はCaliforniaのlaw
schoolでもNew
Yorkのlaw
schoolでも同じような内容を教えていると思う。ただ、JDだと1年目と2年目で基本をほとんど履修しているのだろうが、LL.M.は期間が1年しかないのでこれらの課目を全部履修するのは時間的に不可能だし、せっかくアメリカに勉強に来ているのに、やりたいことよりBarの課目を優先というのではつまらない。
UC
HastingsのInternational
programのProfessor
Paulから入学時に、Barの受験を考えている人はProperty,Constitution
1 and
Evidenceは授業を聞いておいた方がよい、それ以外はBarを気にせず、それぞれの興味のある課目を履修するように、というアドバイスがあった。理由はこの3課目がとてもアメリカ的だから、というものであった。とりあえずこのアドバイスに従った時間割を組んだが、振り返るとこれはとても正しいアドバイスだったと思う。
Propertyは財産権法と訳すのだろうが、少なくとも私の知っている民法の世界観からは冗談としか思えないような世界だった。最初は地役権(のようなもの)とか時効(のようなもの)などの訳語をあてて考えていたが、途中から訳語をあてはめようとすると概念の違いに余計に混乱すると思い、呪文だと思うようにするとなんとなく自分の中で折り合いがついた。
日本にいるときは日本の法は明治以降に西欧の法典を取り入れた借り物で根無し草のようだと思っていたが、中世から連綿と根っこをひきずっている呪文のようなものを見ていると、大陸法というものが中世と決別した近代法典であり、理性への信頼に基づいて人為的に整備されたものだと感じた。こんなわけのわからない何かが日本の民法でなくてよかった、としか言えない。なにしろ教授の説明によると、ある弁護士がこの複雑なアメリカのルールに基づいて作成した遺言書が裁判所で無効となり、遺族が作成した弁護士を弁護過誤で訴えたら、裁判所がこのルールは誰にも正確にわからないから過失なしとした、というのだから。この複雑怪奇なルールがすべてのアメリカの財産権を規律しているというのが納得がいかない。高度に発達した複雑な取引社会を載せる基盤としてこれで足りているのだろうか。
Constitution
1、はUC
HastingsではConstitutionの統治機構のパートの講義を意味する。連邦と州の関係が理解しにくいのに加え、大統領権限がさらにややこしい問題となっている。州と州との争いについてなど、アメリカについてろくな知識もないため、教授の双方の州の位置関係に関する説明を聞いて初めて訴訟にまで至る州の怒りが理解できたりする。私としては自州民を保護したいと思う州の気持ちにいたく同情するのだが、非情とも思える最高裁判決が出される。連邦制というのは狭い地域の利益とは相容れないものらしい。このあたりの議論を見ていると、アメリカは日本に対し、結構配慮している方ではないか、いや忍耐強いとさえ言えるかも、と思えてくる。
日本にいるとJapan
as
No.1だの、世界第二位(今や第三位だけど)の経済大国だのと頭の中の世界地図で日本がやたら大きく立派に見えているけど、先入観なしに世界地図を見ると、日本はCalifornia1州より小さい、太平洋に浮かぶいくつかの島からなる国である。
そしてEvidence。刑事も民事も含めて証拠に関する規定である。そういう概念が日本法にない。おまけにランダムに立法したのでは、と疑ってしまう内容で、どういう体系になっているのかずいぶん考えた。さらに参考書に記載されているある説明がどうしても意味がわからず、ついに教授に質問に行ったら(誘拐されていた人が監禁されていた部屋の内装を証言できるなら、その証言の内容の真偽にかかわらず、誘拐されていたことの証拠である)、教授は証言内容が真実でないなら、誘拐されていたということの証拠にはならないとかしばらくぶつぶつつぶやいた後、だからこの説明は私のcase
bookには書かなかったのだ、とおっしゃった。まったくこの国の法には謎が多い。
いやつまり結論として、Professor
Paulの助言は極めて正鵠を得ていたのだ。
Barを受験する人は、Property,
Constitution 1 and Evidenceは履修をしておいた方がよい。
0 件のコメント:
コメントを投稿